ナルミヤの備忘録(仮)

ナルミヤが学んだことなどを書き記していくブログ(方向性模索中。)

東京大学院試体験記

はじめに

お久しぶりです. 3ヶ月ぶりぐらいの記事です. ほんとお久しぶりですね.
これだけ 記事の間隔が空いたのは, 他でもなく, 学会の論文投稿と院試があったからです.

というわけで, 軽く院試の感想をつらつらと書いて行きたいと思います.
人生で何度もあることではないのでね.
口述試験で聞かれたことも書いたので, 気になる人はそれだけでもどうぞ.

ちなみに, 自分は, 東京大学計数工学科システム情報工学コースの4年生です.

結果

はじめに結果から書いてしまうと, 以下2つの専攻を受け, 以下のような合否結果でした

どっちも第一志望の教員で合格しました.
(まあ, 合格してなかったら感想記事かけるようなメンタルないから当然.)
本当は合格した研究室込みで記事を書きたいのですが(研究室によって合格の難易度が変わりうるため), そこまですると特定されかねないので勘弁してください.

感想

さて, ここから感想を書いて行きたいと思います.

出願

僕は計数工学科に在籍していたので, 情報理工学系システム情報学専攻に出すのは決めていましたが, 複雑理工に出すか否かは直前まで悩んでました. しかし, 情報理工は昨今の情報系人気で倍率が上がりつつあったので, 難易度が読めないことから, 滑り止めとして複雑理工を受けることを出願締め切り当日に決心しました. だって, 3万円とかでかすぎたんだもん....
まあ, 第一志望研究室が複雑理工からも生徒を取っていたのでその意味でも滑り止めとなるかなあと思って.

僕は前述した通り2つの研究科を受けたので, ここからは, それぞれでの感想を書いて行きます.

情報理工システム情報学感想

受験科目など

受験科目と問題数, 解答方法は

  • TOFLE ITP
  • 数学...3問. 全問解答必須.
  • 専門科目...5問. 2問選択解答.
    • 5問は信号処理, 回路学, 制御論, 計算機システム論, 力学で1題ずつ構成される.
    • ちなみに, 去年までは3題選択でしたが, 今年から2題選択となりました. なにやら, 幅広い人に入ってもらうためだとか.

詳しくはシステム情報学専攻のホームページにて
専門科目に関しては, 力学以外, 計数工学科でやる「〇〇第一」とか「〇〇 第二」という授業で扱う科目たちですね.

対策

僕の場合, 受験日1ヶ月切る前ぐらいまで論文執筆に忙しかったので, 本格的に勉強を始めたのは3週間ほど前からでした. いや, ほんと院試なめてますよね....まじでやばかったなあ...
実際, 結構院試なめてたんですよね.
「情報理工の中でもシステム情報学専攻って一番人気ないから倍率も, 高くて1.4倍とかだろうなあ」とかたかをくくってました. まあ, 1.4倍でもやばいと思えって話なんですけどね. ええ. 話がそれました. 対策ですね.

時間もなかったので科目を信号処理, 制御論, 回路に絞り, 勉強自体は, 過去問演習とその分野の授業の見直しや教科書的なものを見返して行きました. 数学の勉強は過去問を4年分解くに止まりました. 数学は知識を詰め込んだところでどうしようもないし, 時間がなかったので.
信号処理と制御論を選んだ理由は勉強してて楽しいから, 研究で使えそうだったから.
回路を選んだのは, 回路学の問題はあんまり理解してなくても頭使わず操作してれば解ける問題が多そうだったからです. はい, 院試なめてますね.

以下使ったもの
TOEFL ITP

結局, TOEFLにかけた時間は4日間だけだったので, あんまり対策してない. 文法問題集は半分だけやりました.

信号処理

制御論

回路学

これで行きました.

筆記試験

前々日とかに, 当日の受験の座席表が教室に張り出されてるのをみて, 受験者数を知りました.
システムだけで70人....募集人数が25人, 実際とる人数が35人ぐらいだとしても倍率2倍....この時はほんとビビりましたね....

そして迎えた受験当日.
変に弱気になってもよくないと思い, 「俺は天才」と暗示をかけて受けました.
数学難しかったですね. みんなも言ってたので結構難化した年ではないでしょうか.
僕は数学の対策をあまりしてなったので, むしろ助かりました.
それに, 暗示の効果か数学を解いている時天才的なひらめきを連発し, 当日は2問完投できてしまったので, 受験者の中でも結構できがよかったのではないでしょうか. まあ, 数学ってそういうものだよね.
そして, 専門科目. 結局, 信号処理と制御論をときました. 信号処理は例年に比べたら, ずっと容易な問題が出ました. ラッキーだったけど, 問題を解いてて少しも楽しくなかったので, そこはマイナス.
制御論は問題に不備があるとしか思えないような出題. 大丈夫か... そんな感じで, 全体的に感じよく終え, 周囲の反応を見てると, まあ受かったかなーって感じで受験を終えました.

口述試験

口述試験を忘れるとこでした.
口述試験では, 受験者1人を教員8名ほどが囲む感じで行われました.
僕の志望研究室の教員はいませんでした. どうやら, 何かのイベントが重なったっぽい.
よく論点となる服装は, Tシャツにセミフォーマルなパンツで行きました. 院試で服装見られることはないと思ったので.
聞かれた内容は以下のよう

  • 「これは, 全く合否と関係ないですが...」の前置きの後に
    • 「併願先はありますか?」 -> 複雑理工を併願してますと答える.
    • 「複雑理工と情報理工, どちらも受かった場合, どちらに行きますか?」 -> 情報理工ですと答える.
  • 「大学院ではどういうことがしたいですか?」 -> 人間の五感を数理モデルで書き起こし, ハックしたいです, と答える
  • ナイキストの安定判別法について教えてください」
    • は?なんでそんな簡単なことを聞くの?ペーパーテストで聞けばいいじゃんと思いながら「一巡伝達関数の不安定局の数だけ, 一巡伝達関数ナイキスト線図が-1点周りを反時計回りの向きに回れば安定, そうでなければ不安定」と解答
  • 「自己相関関数について教えてください」
    • また, は?なんで(以下略)となるが, 答える.(解答内容書くのがめんどくさくなった)

これだけ聞かれて終わりました.
専門的なこと全く聞かれなくてビビりました.

新領域複雑理工感想

受験科目など

受験科目と問題数, 解答方法は

対策

正直言って何にもしてないです. 本命のほうも時間がない中で対策していたので, こっちまでかけられる時間がなかった...受験日が情報理工システムの翌日にあったことも寄与してると思います(言い訳).
過去問で自分が当日解答するであろう, 必須問題, 線形代数, フーリエ解析の3題だけを2年分ときました.

筆記試験

正直, 情報理工でのできに手応えがあったため, 受けるのがめんどくさくなってましたが, せっかく3万円払っていたので受けました.
柏の葉キャンパス遠かった...でも, 当日出ていた受験者用のシャトルバスは助かりました.
実際に試験場に来て見ると受験番号が1から150まであってびっくりしました. 複雑理工って倍率高いんですねー. 本当に, 何も調べずにいたので当日驚くことが多かったです.(受験日前日まで問題の形式も理解してなかった)

TOEFL ITPは, 情報理工でITPを受けた以来14日ぐらい何もしてませんでしたがそのまま突っ込みました.
適当にやり過ごしました. まあ, 英語で落とされることはないだろうと読んでいたので.
高三の頃に全国模試で偏差値35を叩き出すほどの英語弱者でしたが, そのまま突っ込みましたええ.

専門科目は, いつも通り?必須問題, 線形代数, フーリエ解析を解いて終わろうとしたのですが, まさかの線形代数が(2)あたりの固有ベクトルを求めるところで詰まります.
5回ほど計算を見直しましたが, 「固有ベクトルが0になるだと...!固有ベクトルの定義満たしてないじゃん!!」となったので, 他の問題をサラーっと見ると, 力学が運動方程式さえたてば, あとは微分方程式とけば行けそうだったので力学に避難してことなきをえました(ほんとか?)

そんなこんなで波乱に満ちた試験でしたが, 筆記試験を無事突破し, 口述試験に駒を進めました.(複雑理工は筆記試験の結果で口述試験が受けられるか否かが決まります.)

口述試験

この時も, 服装はTシャツとセミフォーマルなパンツで言ったのですが, 自分ともう1人以外はスーツだったのでびびったというより, もはや笑ってしまいました. 異なる時間帯に私服で言った友人は他の受験者から2度見されたらしいです. まあ, みなさん, おもいおもいの服装で行けばいいのではないでしょうか.

会場では, 受験者1人に対し, 教員10名ぐらいでした.
聞かれた内容は以下のようです.

  • 「志望する指導担当教員の志望順位を確認します. 1位....(略)....以上です. 間違えはありませんか?」
    • ここで, 僕は, 志望の変更を申し出ました. 1位, 2位以外は適当に書いてしまったので. 第3希望の変更を願い出ました. 許可されました.
  • 「あなたの自慢できるものをあげてください」
    • 数学基礎論を大学1年の頃, 同級生の誰よりも勉強しましたと答えました. 教員数名に笑われました.(なんで?)
  • 「大学入学して以来, あなたの作ったものを教えてください」
  • 「急に第3希望に入れてもらったものですが, なぜうちの研究室を志望しようと思ったのですか?」
    • 正直に思ったことを述べました

以上です.
また, 専門的なこと聞かれなかった. 知識入れて行ったのに....

全体の感想

長くなりましたが, 体験記としては以上です.
情報理工システムは倍率は上がり気味なものの, 内部生に取ってては, まだ, 安心して受けられるところではないでしょうか. しかし, 研究室単位で見ると, 人気の集中してるところとそうでないところで差が激しいので, 人気研究室を受ける人は, 滑り止めを持っておくといいかも? 特に, 今年は(今年も?), 猿渡研究室は大人気でしたね.
複雑理工は倍率は高かったですが, 問題のレベルは高くないので, いかにミスしないかって感じです. 正直言って, 簡単でした.(まあ, 線形代数から逃げちゃったんだけどね...) 滑り止めとしての複雑理工はありだと思います. 柏, 研究にはいい場所だしね.
ちなみに, 口述試験で志望を変える方法は以後も通じるとは限らないと思います. 情報理工システムで同じことやろうとした人がいましたが, 却下されてました.(まあ, こっちの方が当然だよね)
全体的に大成功な院試でしたが, あと1つ心残りがあるとするならば, 情報学環・学際情報学府を受けて見たかったですね. 僕の好きな研究室もたくさんあったので. しかし, システム情報学専攻の試験日と被っていて受けられませんでした. 無念....

最後に

進学後は, 2年間ハプティクスシステムのモデル化に努めようと思います.
ゆくゆくは全感覚システムのモデル化したい...!
そんで最強のVRを作るんだーーー!!!

というわけで, 想定以上に長くなりましたのでここで切り上げます.
最後までお付き合いいただきありがとうございました.
それでは, またいつか.

追記

点数開示したので, その結果を記しておきます.

情報理工学系研究科システム情報学専攻

科目名 点数 / 満点
TOFLE-ITP 517 / 677
数学 189 / 300
専門科目 142 / 200

感想

数学に関しては, 思ったより10-20点低かったなと言う印象です. 周りの人に聞いてもそう言う印象の人が多かったので, ちょい厳しめにつけてるのでしょう. 難しかったと言う感想の多い中で6割ちょいはよくできたと思います.(特にシステム情報学専攻の中では)
専門はまあこんなもんという感じ. あと10点はあると思いましたが, 数学もそういって想定より低かったので, 僕の感覚がガバガバ説.
専門で選んだ2問は信号処理と制御論です. (システムの専門科目は, 信号処理・回路学・制御論・計算システム論・力学の5問から2問選ぶというもの. )
今年は特に, 信号処理が易化していました. 過去問では, 2018年実施のものを除けば, 6割取れればいいかなという難易度でしたが, 今年は最後の小問以外はほぼ確実に取れるように思いました.
制御論では, まさかの出題ミスと思われるものが...そこは回答者に等しく点が来てるとしても, 解けない問題もあったので, 制御論6割ぐらいだったのではないでしょうか.
ちなみに, 今年の回路学はすごく難しかったらしいです. 僕は(1)の時点で自信が持てなくて撤退しました. ラッキー. 時代は信号処理・制御論ですよみなさん.
英語?まあ, これだけ取れれば上等でしょう.(当社比)

新領域創成科学研究科複雑理工専攻

科目名 点数 / 満点
英語(TOFLE-ITP) 78.0 / 100
専門基礎(数学・物理) 220 / 300

感想

専門の点数は思ったよりもめっちゃ低かったですね.
複雑理工の専門科目は, 必須問題1問 + 選択問題7(?)問中2問というものでした.(多分)
まあ, 必須問題の(1)でつまづいてたし, それ以外にも色々できてないところもあったので, 点が低いのもさもありなん.(固有ベクトル計算せよという問題で, 固有ベクトルが何回計算しても0ベクトルになったりなど. ちなみに, 結局この問題は捨てて力学をときました. )
しかし, 第一志望教員受かっているので, 8割ぐらいあるかと思いました...
逆に考えると, この点数でも複雑理工の第一志望受かったので, やはり複雑理工(というか新領域)は滑り止めとしては有用です.
備えあれば, 憂いなしですからね!
まあ, でも今回はたまたま情報理工システムと試験日が被らなかっただけらしいので, 滑り止めとして使えるかは年度によるでしょう.